天体の運行と歴史の流れ
- 水野 辰哉
- 2024年8月18日
- 読了時間: 7分
更新日:2024年8月25日
『ユングと占星術』(マギー・ハイド著 鏡リュウジ訳 青土社)という本の中に下のような興味深い図が載っています。同書29ページの図1.3『魚座の時代』という図で魚座とその中にある恒星が描かれ、その下に各恒星を春分点が通過した年が書かれています。
一番左側がアル・リスカαで111BCとなっています。アル・リスカは恒星の名前で、αはその星座の中で最も明るい星(首星)であること示しています。魚座には綱でつながれた二匹の魚が示されています。アル・リスカは魚座の最初の方、二本の綱が交差する点に位置します。

さらにその下に歴史的な出来事とその年が書かれています。それによって、各恒星のところを春分点が通過した際、歴史的にどんなことが起こったかを知ることができます。例えば、春分点がアル・リスカを通過した 111BC の右は7AD、キリスト紀元7年となっています。春分点はアル・リスカを紀元前111年に通過し、その後キリストが誕生しました。その後、歴史の進行につれて春分点が黄道上の魚座の上を右の方に移動していったことが分かります。
2匹の魚のうち、垂直方向に伸びた綱は霊性の高まりを表し、右側に水平方向に伸びる綱は近代化の方向を表すと言われています。魚座の最初の方で、垂直方向に綱がのびているのは、キリストの誕生により、人類の霊性が高まったことが示されています。
その後は、もう一本の綱が水平方向に伸びていきますが、これは中世~近世~現代と、ルネサンスや産業革命を通じて近代化の流れが進んでいったことを示します。そして、20世紀になって物質文明は頂点を迎えます。
1817年に春分点は魚座のω星(Omega Piscium)を通過しました。この星は右側の魚のしっぽあたりに位置する星です。1817年はカール・マルクスの生誕の年です。20世紀の歴史で重要な役割を果たす共産主義、社会主義の生みの親であるマルクスがこの年に生まれているのは象徴的です。
共産主義の根底にある唯物論は霊性とは対極的なものです。現在起こっているロシアによるウクライナ侵攻や中国経済の低迷は、共産主義による独裁体制の国家が凋落に向かう一方、人類は全体として少しづつ霊的に覚醒する方向に向かっている気がします。こうした変化は、春分点が魚座から水瓶座に移行するという宇宙的な出来事と照応している、と考えられるのではないでしょうか。
こうしてみると、春分点の移行と歴史の流れとの間には関連性があるようにみえます。マクロコスモスである宇宙は、ミクロコスモスである私たち一人ひとりの心を通して影響を及ぼし、それが歴史の流れとなって現れてきているのではないでしょうか。
この本には「ユングにとっては魚座の中での春分点の歳差移動は、西洋の宗教の歴史物語を紡いでゆくものであった。.....天文学的なファクターがこのような歴史の発展を『引き起こす』のでもない、と言う。しかしながらこの二つは非因果論的に『共時的』な仕方で一致している。意識と無意識からなる集合的な心が、世の文化をなす神話や現れを通して時空を横断して自律的に作用するのだと、ユングは断言する。無意識、集合的な心は、自身を外界に投影し、超越的な意味を発生させる。」(31ページ)と書かれています。
『プラネタリー・サイクル』という本があります。著者はフランス人のアンドレ・バルボーという人です。この本の冒頭、『日本語版に寄せて』という中でロイ・ギレットという人が次のように書いています。「急速に発達するコンピュータ技術によって、数千年にわたる天体配置を正確に計算できるようになり、その結果、歴史と天体サイクル(特に本書で示されているように木星から冥王星までの外惑星のサイクル)を精密に関連付けることが可能になった」と述べられています。
この本の著者、アンドレ・バルボーについては「1921年に生まれ、17歳から2019年の死に至る長い人生において、占星学と天体サイクルは、彼の関心の中心であり続けた。その研究によって、彼は大きな時代の潮流(たとえばスターリン死後のソ連の変化、1989年のソ連の体制崩壊、2008年の世界的な経済危機、2020年のCovid-19感染拡大による世界的な混乱など)を予期することができた。.....アンドレは多彩な手法を用いて、各々のアスペクトの周期性がどのように地上の歴史を形作ったのかを、疑問の余地なく示している。これらの歴史とその背後にある天体サイクルの物語を堪能したならば、あなたの国の歴史と比べてみてほしい」と書かれています。
本当に彼はこれらの出来事を占星術によって予想できたのでしょうか?そのことを確かめるために、私は自分の目でこれからの世界の動きと天体の運行を比較して、両者の間に本当に関連性があるのかどうかを確認する作業をしていきたいと考えています。そして、このサイトで私なりのそうした研究の軌跡をお示しできればと考えています。
『プラネタリー・サイクル』が呈示するサイクルとは、天体同士のコンジャンクション(太陽と月を含む2つの惑星が黄道上で同じ場所に来ること)のサイクルです。具体的には木星と、土星、天王星、海王星、冥王星とのコンジャンクション、土星と、天王星、海王星、冥王星とのコンジャンクション、天王星と、海王星、冥王星とのコンジャンクション、海王星と冥王星とのコンジャンクション、を指します。
バルボーは「最初のコンジャンクションから再び次のコンジャンクションになるまでの期間が1サイクルです。この間、2つの惑星のアスペクト(地球と2つの惑星を結んだ線がつくる角度)が、それぞれ45度、60度、120度、180度、215度、240度、300度、315度になる各ステージで、出来事がどのようにつながっていて発展していくのかを示し、そして再びコンジャンクションになったときに、歴史上、重大な出来事が新たに起こることを明らかにしたのである」(同書12ページ)としています。
バルボアが挙げているコンジャンクションの例とした木星と土星のコンジャンクションが2020年12月20日に起こっています。そのことは新たな歴史の流れを作り出すような大きな潮流の起点になったでしょうか。
2020年の12月といえば、翌2021年の初めから世界中でコロナが流行する直前の時期にあたります。コロナは一説によれば中国の武漢がその発生源であると言われています。2020年の年末に向け、中国の武漢市でコロナ発生に関連した様々な出来事が起こっていたが、中国政府がそれを隠蔽しようとしていたと伝えられています。翌2021年の2月にはロシアによるウクライナへの侵攻が起こり、さらに2023年の10月にはイスラエルでハマスによる大規模なテロが発生し、それによってイスラエルによるガザ地区への攻撃が起こっています。
こうした一連の出来事を振り返ってみると、確かに2020年の12月というのは、世界史的な新たな潮流が始まった時点としてして捉えるのは可能ではないか、という気がします。今日は2024年の8月18日ですが、木星と土星のコンジャンクションがその後どうなるかというと、2024年の8月19日において2つの惑星はスクエアになります。
バルボーが示す各アスペクトの持つ意味は次の通りです。
コンジャンクション(0度):出発点としての働きをする。発生源、種の発芽、創造の始まりとなる
セミスクエア(45度):複雑な発達
セクスタイル(60度):勢いが明確な形となり、具体化しはじめる
スクエア(90度):二つの要素間の緊張により、成長の危機がある。分断、不調和、対立が起こる ← 現在がまさにこの時点です
トライン(120度):生産的な段階。連携、協力、利益、成功をもたらす
セスキコードレート(135度):問題の再発
オポジション(180度):新たな転換点。中期的な重要段階。以降、衰退期に入る。衰退の始まり、逆転、著しい変容の時期
ウクライナ戦争においてはウクライナからロシアへの大規模な侵攻が2024年8月6日から始まり、この戦争が新たな局面に入ったことが示されています。中東においてもイランとイスラエルとの間の緊張がイスラエルによるハマス指導者の暗殺を契機に高まっており、場合によっては米国も巻き込む形で両国間に戦争が起こる危険性が高まっています。
こうしてみると、確かに星の運行と人間の歴史の動きとの間には何かつながりがあるような印象を持ちます。ということで、今後、このブログを通して、星の運行と世界情勢との関連についてご報告していきたいと思っています。
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