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​国民経済講座について

​ 以前、“ソフィアの会”という読書会が高橋先生を囲んで、2020年にコロナ感染症の拡大で中止されるまで長い間続きました。その会で、最後の5~6年間はシュタイナーの社会論関係の本やベーシックインカムの書籍(『すべての人にベーシック・インカムを-基本的人権としての所得保障について』ゲッツ・W・ヴェルナー著 渡辺一男訳 現代書館)がテーマとして取り上げられました。また、高橋先生が2024年の3月に亡くなられた直後に出版された2冊の本はシュタイナー社会論入門1、2として”『社会の未来』を読む”、”『社会問題の核心』を読む ”(高橋巌著 春秋社)となっており、最晩年の高橋先生が社会問題に高い関心をお持ちだったことが分かります。


 社会問題やベーシック・インカムについて展開されているシュタイナーの考え方の背後に実はシュタイナーの経済学について、いわゆる“近代経済学”の考え方とは全く異なる経済の見方があったことを最近知りました。

 

 シュタイナーは1922年に“Nationalökonomischer Kurs, Dornach, 1922“(「国民経済のクラス、ドルナッハ 1922年」)を行っており、彼が経済の分野についてどのような見方をしていたかが詳細に語られています。このセクションでは、この講座の内容をもとに、シュタイナーの国民経済に関する考え方を探っていきたいと考えています。


 私自身、職業としてはずっと経済や金融分野のアナリストとして活動してきましたので、この分野には常に高い関心を持ち続けています。この講座が開かれた1922年というのは、ドイツが第一次世界大戦に敗れ、ヴェルサイユ条約のもとで厳しいインフレに苦しんでいた時代です。また、ケインズが『雇用・利子および貨幣の一般理論』によってケインズ経済学を提唱する14年前です。

 

 シュタイナーの提唱する“社会有機体三分節化”の運動との関連で、彼が経済分野に関してどのような捉え方をしていたかを知ることは大変興味があります。シュタイナーのことですから、恐らくこの分野においても通常の経済学とは全く異なった見方をしていたのではないかと思います。そうした経済の捉え方が、社会有機体三分節化とどう関わっていくのか、じっくり学んでいきたいと考えています。

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